「夢職人と忘れじの黒い妖精」1.5周年イベント用楽曲の制作の流れ、サウンドクリエイターの頭の中

はじめに

ジークレスト、サウンドクリエイターの竹田です。

今回は「夢職人と忘れじの黒い妖精(以下：ゆめくろ）」の1.5周年記念イベント
「白熱！シャッフルマッチ」のイベント用楽曲ができるまでの流れ、制作を進めるにあたり
サウンドクリエイターがどんな事を考えて楽曲を制作しているのかを書こうと思います。

↓実際に楽曲が使われているPVはこちら

1.5周年スペシャルムービー【夢職人と忘れじの黒い妖精（ゆめくろ）】

まず、基本的にゆめくろでは社内のディレクターやプランナーから
「〇〇に向けて新規楽曲を制作してほしい」といった形で新規イベントや新機能などに対して
楽曲の制作依頼がされて、社内スタッフや協力会社様が制作するといった形で進行します。

今回は「対新規イベント」として楽曲の制作依頼が社内制作向けに発生したパターンとなり、
「1.5周年のマイスター競技会イベント用の楽曲を制作して欲しい」という要望と共に
参考曲数点を頂く形で制作依頼を受けました。

「じゃあ要望と参考曲を元に早速楽曲作るぞ！」…と実際に手を動かして楽曲を制作する前に
まずはサウンドクリエイター側で「今回のイベントに対してどういった楽曲を制作するのがふさわしいのか」を要望と参考曲を元にしつつ、改めて自分でも考えます。

まず今回の楽曲の要素として
・「マイスター大競技会」というテーマのイベントに関する楽曲
・ゆめくろという作品の1.5周年を飾る大事な楽曲
という大きく2点の要素があります。

この2点に対してサウンド側でどうアプローチできるかを考え、以下の結論に辿り着きました。

・「マイスター大競技会」というテーマ
→楽曲ジャンルをオーケストラにし、運動会や競技会の幕開け感を演出する
・ゆめくろ1.5周年要素
→ゆめくろを代表するタイトルBGMのメロディを散りばめ、THEゆめくろ感や文脈を演出する
以上の2点を意識して楽曲制作を進めました。

1点目ですが、こちらは説明の通り楽曲ジャンルをオーケストラにすることで
テーマと親和性の高い物にしイベント性に音楽ジャンルを合わせようといった考えとなります。

実はそもそも依頼の段階の参考曲でもオーケストラ楽曲が提示されていたり、それ以前にゆめくろの楽曲の中でも一番採用率の高いジャンルということで依頼者のイメージとしても、タイトルの特色的にも、サウンド的にも丁度良い落としどころだと考え採用しました。

また、楽曲中にファンファーレ的なキメの箇所をいくつか入れることで式典などの始まり感を連想させようという意図もあります。
ファンファーレというこのジャンルの楽器編成だからこそできるアプローチとなります。

総合して、親和性の高いオーケストラを選ぶことによって「マイスター大競技会」というテーマへ寄り添う事を目指しました。

2点目の「タイトルBGMのモチーフを散りばめる」ですが、
まずはタイトルBGMの特徴的なメロディを洗い出しました。
↓タイトル曲はこちら

作編曲：高田雅史様

メロディを分かりやすくするため、ピアノでメロディと範奏のみの形式に一度落とし込みました。

こちらの2つの区間が特にメロディとして特徴的な箇所だと考え、実際に制作する楽曲の中にメロディを散りばめます。今回の楽曲では下記の4箇所でメロディの引用をしています。
(引用元のピアノサンプルの音源も分かりやすくするため、キーを1.5周年楽曲と合わせております)

この部分はメインメロディが「たーんたーんたーん」と3音で構成されていますが、こちらのメロディを引用しています。

この部分のトランペットとホルンで演奏しているメロディは、こちらのメロディを引用しています。

この部分の左でハープが演奏している細かいフレーズですが、こちらのメロディを引用しています。

この部分のチェロで演奏しているメロディですが、こちらのメロディを引用しています。

といったように、少しずつタイトルBGMのメロディを引用し楽曲を制作することで
ゆめくろを代表するタイトルBGMと関連性を持たせ、少しでも文脈や歴史を感じていただけるような楽曲を目指しました。

先に記載の思想を元に制作したところ方向性は一発OKとなり、細かな修正を数回重ね楽曲が完成しました。
完成した音源がこちらとなります。

いかがでしょうか。ゆめくろらしさ、競技会へのワクワク感などが感じられる楽曲に仕上がっていると思います。

制作依頼～完成まではおおよそこんな手順で進行します。
特に弊社サウンドとしては「どういった楽曲を制作するのがふさわしいのか」をサウンドスタッフ側でもしっかり考えるという工程をを大切にしております。

ゆめくろでは、これからも協力会社さんや社内スタッフにより新しい音楽が増えていきますので
今後また機会があれば今回のような音楽にフォーカスしたお話も執筆できればと思っております！

みなさまもゆめくろをプレイする際には、ぜひ音楽のこだわりにも耳を傾けていただけると嬉しいです！